LotR物語V 「とにかく、まずは体を拭け」アラゴルンが拭く物を差し出すと、 皆が(特にサムが)彼に冷たい目を向けました。 アラゴルンは泣きそうになりました。 「馳夫さん 旦那達に謝るべきですだ!!怒(`´)怒」サムはプンプン怒り、 「それにそんな汚い手ぬぐいで…(怒)」見ると、アラゴルンの差し出した布は、 汗とほこりと泥とで汚れた、それはそれは汚らしい物だったのです。 「わっ 私は彼から拭く物を借りよう」と言ってレゴラスはサムの方を見ました。 「じっ じゃあ 私は…」と言ってフロドはサムをじっと見つめました。 「オッ オラ…」サムはおろおろしました。最愛の主人を選ぶか、最愛の種族を選ぶかーーー!? 困惑しているサムに気付いたレゴラスは 「それは君の最愛の主人に貸してあげなさい。私はもう乾いてきたから」と、言いました。 サムは感動し、瞳をウルウルさせて「はい ですだ!!」と、言いました。 (サムはもっとエルフが好きになりました。) それを見ていたギムリもまた、親友の潔い姿に感動し、 「じゃあ あんたには私のを貸してやろう」と、ふところから布を取り出し、レゴラスに差し出しました。 「うっわ(×0×)汚っな〜〜い!!!」レゴラスはつい叫んでしまい、ギムリを傷つけてしまいました。 「すっ すまな…い(;;)これでも清潔にしておいたはずなんだがなぁ…(;;)」 ギムリがしょぼくれていうと…。 「では俺のを…」と言って、今度はボロミアが布を差し出しました。 意外や意外にも、彼の布は白くて綺麗でした。 「ありがとう(^0^)」レゴラスは笑顔で受け取りました。 そして ガンダルフが「さあ、出発じゃ!!」と、言いました。 アラゴルンは名誉挽回とばかりに、 「小さい人達は、疲れたら私がおぶってやるから、いつでも言ってくれ!!」と、言いました。 すると、サムがムスッと、「エルフの旦那もおぶってやって下さいですだ!!」と、アラゴルンを睨みました。 しかし、レゴラスは「エルフは疲れないから、おぶってもらう事はないと思うよ。 …おぶる事はあるかもしれないけどね。」 と、言ってククッと笑いました。アラゴルンは一瞬ムカッとしましたが、理性で押しとどめました。 「じゃあ私達ホビッツ、皆疲れたので、馳夫さん4人背負ってくれますか?」フロドが嫌味に提案しました。 「4人!?俺一人でか!?」アラゴルンが吹き出しながら言いました。 「そう、アナタ一人で!!!」メリピピが声をそろえ、ホビットは意外に根に持つ種族のようです。 「ち、ちょっと待て!!フロドはともかく、他の三人は疲れてないだろう!!」 アラゴルンが必死に反撃しました。 するとピピンが「僕らは2人を待ってる間、精神的にすごく疲れんたんです。 あなたさっき、『疲れたら』としか言わなかったですから。おぶってくれてもいいんじゃないんですか?」 と、胸を張って言いました。 「いい加減にしろ!!お前達は種族を代表して来てるんだぞ!!」ガンダルフが怒鳴りました。 「すみません。ガンダルフ;」アラゴルンは申し訳なさそうに言いました。 一悶着あったものの、一同は無事再出発しました。 とりあえず、まだ足もとのおぼつかないフロドは、メリピピの熱い要望によりアラゴルンが背負うことになりました。 「馳夫さんに旦那を任せておくのは心配ですだ!」サムはまだ根に持っています。 「まあまあ(^0^;)」ギムリはアラゴルンが少しかわいそうになりました。 フロドを背負ったアラゴルンを見て、ボロミアは(王…嘆かわしい…)と、密かに同情しました。 が、それを口にすると血を見そうなので、黙ってついて行きました。 そして一行は、第一目的地『きれいな花畑』に到着しました。 「あぁ―― キレイだ…」レゴラスが呟きました。 「ほんとですだ…」(でも旦那も綺麗ですだ…)と、サムは心の中で思いました。 レゴラスは足もとの花を摘み、器用に花冠を作り、それをアラゴルンの頭にのせて喜んでいました。 王は嫌がっていました。 「アラゴルンさすがによく似合ってますよ(^0^)なんと言ってもゴンドールの王ですからね!」 と、レゴラスは言いました。 「マイ ピープー マイ キャプテン マイ キング ガクリ…」 「ボロミア何言ってるんだ?」アラゴルンがツッコミました。 「ああ〜〜、俺はもうだめだ〜〜〜〜」ボロミアは花冠アラゴルンに悩殺されていました。 レゴラスは、今度はギムリの髭の三つ編みに花を差し込んで 「かわい〜〜〜vvv」と、言って喜んでいました。 ギムリは「やめろ!!」と、口では言っていましたが、まんざらでもなさそうでした。 「何でドワーフに花なんか……」と、言いつつも顔はホクホクしていて、 「よし!!では俺がエルフ殿に花冠を作ってしんぜよう!!」と、ギムリはさらにはりきり 「よし!!できた!!」と言って、差し出された花冠は……。 「こ、これを私に……?」レゴラスは震えました。 何故ならギムリの作った花冠は、それはそれは美しく、内から光り輝いていたからです。 「被ってみろよ!」ボロミアが言いました。 「ああ。」と言って、レゴラスはそれを頭にのせました……。 「お前も闇の森の次期王だからな…。よく似合ってる。」アラゴルンは花冠を付けたまま言いました。 その後一時、その場は変に和んだ雰囲気になりました。 エルフとドワーフはせっせと花冠や花の首飾りを作り、皆、体中を花だらけにして遊びました。 「さて本当に遊びはこれまでにして出発しようぞ!!」ガンダルフが大声で言いました。 「次の目的地はツルツルの坂道ですね(^0^)」レゴラスが言いました。 「あの噂に聞く『ツルツルの坂道』ですか!!」フロドがビクッリして言いました。 「あそこには恐ろしい言い伝えがあると聞きます…」 「そう…。あの坂は一度滑り落ちるとどこまでも滑り落ちて奈落の底まで行ってしまうらしい…。」 アラゴルンが低い声で言いました。 「そ、そんな所を通るんですか?」ピピンが半泣きでガンダルフに訴えました。 さらにメリーが「僕とピピンなんか、自分で言うのもなんだけど、 かなりおっちょこちょいだから、絶対滑っちゃいますって!!」と、付け足しました。 「そういう時こそ大きな人たちに手助けしてもらえ」と、ガンダルフが言いました。 「そうだよ、ギムリ(^0^)」レゴラスは笑い訴えました。 「じゃあ僕はボロミアさんに助けてもらお♪」ピピンがそう言うと、メリーもそれに同意しました。 フロドとサムはアラゴルンに助けてもらうことになりました。 「歩き始めるぞい!!」ガンダルフがはりきって言いました。 「うわー 本当にツルツルしますねェ」と言いながらも、 レゴラスはまたもやスイスイとギムリの髭を引っ張って登って行きました。 「髭を引っ張るな〜〜(怒)」 ギムリの必死の訴えにも耳をかさず、エルフはどんどん進んで行きます。 一方後ろでは、皆滑らないように四つん這いで(ガンダルフさえも!)ちょっとずつ、 レゴラスのあとを追いかけていきます。 とっ、その時ガンダルフが「ぎゃあ゛〜〜〜!!」と言って、転げ落ちていきました。 「ガンダールフ!!!」フロドが叫びました。 「フッフッフ…」突然どこからか笑い声が聞こえました。 「ガンダルフはわしが預かった。返してほしければ我が砦に来い!」その声の主は…。 「サルマン!!」一行は声を揃えて叫びました。 「ど、どうすればいいんだ…」アラゴルンが呟きました。 それを聞いた一同は、(何てしわがれた声なんだ…!!)と、ビックリしました。 そう、サルマンの素晴らしい美声を聞いた後では、あの王の声でさえ、 よぼよぼのくしゃくしゃのじいさんの声に聞こえるのでした。 「うろたえないでアラゴルン!!サルマンの砦に行くしかないでしょう!!」美声の持ち主のレゴラスが言いました。 「そうだ!あの人がいないと…。旅は続けにくいぞ!!」 「そうです!!その意気です!!」 「そ、そうだな!!」レゴラスとアラゴルンは妙にテンションが上がっていました。 「じ、じゃあ 思い切って行くぞ!!」 一同→「エイエイオ〜〜〜〜!!」 そうしてアラゴルンを先頭にガンダルフ略奪の計画が立てられました。 「よし!!皆自分の役割が分かったな!!」アラゴルンが言いました。 その計画とはこういうものでした…。 アラゴルン曰く、皆で女装して、サルマンとその一味を誘惑し、 その隙にガンダルフを助ける、というものでした。 「一番美しく女装できた者が最後の切り札という事でスタンバイした方がいいだろう。」 と、アラゴルンは言いました。ということで、一行は一度女装してみることにしました。 「こんなこともあろうかと…」と言って、サムは袋から数枚の絹のドレスを取り出しました。 一同はビックリしましたが、この際、深くは追求しませんでした。 「俺サイズのドレスもあるのかな?」ギムリが気になって言いました。 「私の身長にあうものもあるかい?」レゴラスも問いました。 「もちろん一通り揃えてありますだ!!……さすがにトロル用のはないですだが……」 「さすがはサム!!」レゴラスが褒めました。 サムは「えへへ〜ですだ///」と言って、真っ赤になりました。 そして、みんなが試着に茂みに入って10分…。 「さあ、いっせーのーせで出るぞ!!」と、アラゴルンの合図がありました。 「いっせーのーせ!!」 バッ!!!みんなはいっせいに茂みから飛び出しました。 ホビットはテトテトと小走りで、人間はザッと一歩踏み出し、 ドワーフはドスドスと足を踏み鳴らし、エルフはひらりと舞い出ました。 その途端………「うえ〜〜〜〜っ!!!!!」一同から同時に悲鳴が上がりました。 その視線の先にいたのは「君ってヤツはもっと可愛くなると思ってたよ、ギムリ……。」 レゴラスはがっかりしたように言いました。